オルゴールというとおもちゃというイメージを持つ人が多いと思いますが、立派な楽器と考えられていました。ここでは、オルゴールの歴史について見てみましょう。

オルゴールが初めてつくられたのは1796年。スイスのアントワーヌ・ファーブルが発明したメロディーを奏でる機構が、オルゴールの起源と言われています。彼はこれを時計の付属品として考案しました。つまり、鐘のかわりにメロディーで時を知らせようと、その機構を生み出したのです。

シリンダーオルゴール

ピンが打ちこまれた金属のシリンダーを回転させ、そのピンを薄い鋼鉄製の板ではじくことにより、メロディーが奏でられる―これがオルゴールの仕組みです。ファーブルが発明した後、より音域を広げる開発が始められ、”楽器”としてのオルゴールの歩みが始まります。それが一応の成果を見たのは、1830年頃のことでした。

こうして生まれたオルゴールは、シリンダーを用いるためシリンダーオルゴールと呼ばれます。いま現在、ちょっとしたプレゼント用として、一般に安価に出まわっているものはこのシリンダーオルゴールです。

オルゴールが”楽器”としての道を歩みつつあった1800年代前半は、モーツァルトやベートーヴェン、シューベルトらが活躍した時代でもありました。そんな時代にあって楽器を自動的に、しかも簡単に演奏することができるオルゴールは、貴族階級を中心に爆発的な人気を得ることとなりました。当時一種のステータスとなっていたオルゴールは、城ひとつ分ほどの値段で売れたと言います。

しかし、ここで問題にぶつかります。需要は増えるのに、それに生産が追いついていかなくなってしまいました。というのは、オルゴールの要であるシリンダーは、時計職人によってひとつずつ手作業でつくられており、大量生産ができなかったからです。

さらに、シリンダーオルゴールの構造的な限界もクローズアップされます。つまり、シリンダーが1回転する時間がすなわちオルゴールの演奏時間なので、演奏時間が短すぎるという問題が指摘されるようになったのです。演奏時間が短いと、長い曲は収録できないし、曲数も限られてしまいます。

シリンダーオルゴール
シリンダーオルゴール

そこで、これらの問題を解決しようと生まれたのが、ディスクオルゴールです。これはシリンダーの替わりにディスクを使うというものです。1855年に、ドイツのパウル・ロッホマンが発明しました。ディスクはプレスによってつくられるので、大量生産が可能です。ディスクの大きさは4.5から30インチまであり、長い曲も収録できるようになりました。また、何枚かのディスクをセットしておき、ボタンやレバーを操作して、好きな曲を選べるというオートチェンジャー機能も搭載され、曲数も増えました。

さらに、構造的に板をはじく力が強くなったため、音域も広がって、音が豊かになるという予期せぬ副産物も生まれました。こうして、オルゴールはディスクオルゴールの時代を迎えたのです。

しかし、ディスクオルゴールの衰退は、意外に早く訪れます。1877年にエジソンが蓄音機を発明したからです。蓄音機には生の音が録音できるという特性があり、これにはディスクオルゴールも対抗する術を持ちませんでした。こうして、一時は隆盛をきわめたオルゴール産業も、1900年代の前半には消えていってしまいます。

シリンダーオルゴール
オルゴールと共鳴箱

オルゴールは、ひとつひとつ違う音を出します。そのことに唯一無二の価値を見出した人々は、今でも熱烈にオルゴールを支持しています。最近では、オルゴールが精神を安定させることがわかってきました。オルゴールの音は非常に音域が広く、脳幹と視床下部の血流を回復するため、様々な病気の改善事例が出ています。これは「オルゴール療法」として広く世に知られています。

21世紀に入って再びオルゴールに注目が集まっています。今後ますます、オルゴール本来の価値が世の中に認識されていくことでしょう。

出典:開運!なんでも鑑定団1(1995年)角川書店